2011年3月20日 の説教



 聖書

 ルカによる福音書 2章1~20節

説教要旨   クリスマスおめでとうございます。

 聖書の画家、光の画家といわれるレンブラントは羊飼いたちが見守る馬小屋を光り溢れる光景として描きました。イエス様がお生まれになった夜、外は闇夜であるのだけれども、馬小屋の中はランプの光でまこと暖かな光に包まれています。そしてみ子の誕生を見守る人々の顔はいとしさに満ちあふれ包まれている。その絵を私は思い出します。光に映し出される人の顔の輝きを、やさしさや悲しさ、そういう移ろう一瞬の人々の表情の中にある光を描いたのではないか。そういう気がしてならないのであります。

 主イエスの誕生の出来事を訪ねた羊飼いたちは最初、野宿をしながら、夜通し羊の群れの番をしていた時「主の天使が近づき、主の栄光が周りを照らした(8-9節)」のでした。もともとのギリシア語の意味を追って深めますと、この主の天使は羊飼いたちの傍らほどに立って、主イエスの誕生の出来事は、言葉にならないほどに満ち溢れた喜びとしてあなたがたに与えられるのだ(10節)と語りました。イエス様がお生まれになる場所は、あのタビデ生誕の地であるユダヤのベツレヘムですが、エルサレムに比べるとおよそ取るに足らないようなそれはちっぽけな町でした。そしてそれを取り巻いているのはユダヤをも含めた全地中海・中近東領域を支配しているローマ帝国であります。ローマ帝国の軍隊はパクス・ロマーナ(ローマの平和)をもたらした、とは支配者の側の言い分で、周辺他国を蹂躙し制圧していたそのような「偽りの平和」をもたらしていたのです。

 しかし羊飼いらにその後現れた天使たちもまた、「天の大軍(13節)」と表現されている。大軍というものはすぐさまローマ軍をイメージしますが、この「天の大軍」はパクス・ロマーナならぬ「地には平和」と、真実の平和をもたらす君の誕生をこう歌ったのです。「いと高き所には栄光、神にあれ」。よくクリスマス賛美歌に使われるのはこのフレーズのラテン語で、〈グローリア・イン・エクセルシス・デオ〉です。それを最も貧しき者たちである羊飼いたちは受け入れました。

 主イエスの誕生は何の変哲もないちっぽけな町ベツレヘムの貧しい馬小屋、飼い葉桶の中での御子の誕生でした。しかしここにこそ言い尽くせない「喜び」、グローリア・インエクセス・デオ――真実なる平和を示したクリスマス、この誕生こそは、人々の病を癒し真実に慰められる平和の君、神の子の誕生として世界中に告げられたのです。

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