2011年3月20日 の説教



 聖書

 マタイによる福音書 1章18~23節

説教要旨   ヨセフはマリアと婚約していたが、マリアが妊娠していることを知り、密かに離縁しようとします。20節「このように考えていると、主の天使が夢に現れて言った。『ダビデの子ヨセフ、恐れず妻マリアを迎え入れなさい。マリアの胎の子は聖霊によって宿ったのである。』」この天使の言葉から「ヨセフはマリアを妻として迎え入れることを恐れていた」ということが分かります。何故ヨセフはマリアを妻とすることを恐れたのか。

 この時代の婚約とはもう半ば結婚の関係にあります。他人と関係をもって妊娠までした女性と何食わぬ顔をして結婚するということは神への冒涜に他ならず、そういう神への恐れがヨセフの心にあっただろうことと、同時にこれがユダヤ社会の中で明らかになったら、ヨセフもただでは済みませんし、マリアは最悪の場合、姦淫の罪で裁かれる(石打ちで殺される)。婚約までした愛する女性が殺されるという事態は何としても避けたいと願ったことでしょう。ここからヨセフは密かに離縁しようとする。「密かに」ということは他人や共同体に知られずに、ということですから、お互いの消息をくらますようなことまで想定していたかも知れません。ヨセフが正しい人であり続けるためには、悲しいかな、こんな選択に迫られていた、という訳です。

 しかし主の天使はこの子は聖霊によって宿った、つまり「神の子」だと示し、恐れないで結婚しなさい、と告げたのです。正しさと、恐れと、愛との間で戸惑うヨセフは天使から勇気を貰う。一介の大工であったろうヨセフはマリアと生まれくる神の子を守るために受け容れる決意をするのです。

 天使は「その子をイエスと名付けなさい。この子は自分の民を罪から救う」と示す(21節)。イエス(ヘブライ名ではもともとヨシュア)とは「ヤハウェは救い」。神は救いという名前です。与えられた意味、その思いを大切にもって、ヨセフはマリアと本当に愛深い結婚をしました。

 けれどもここに聖書はもう一つ深い意味の名を与えています。それはイザヤ書7章14節にある預言の言葉で「その名はインマヌエルと呼ばれる(「神は我々と共におられる」という意味)(23節)」。

 この貧しいマリアとヨセフの夫婦がこれからしっかりと歩むところに与えられた神の子イエスは、私たちと共にいます。慰め励ましを深く人々に与えて歩んでくださる神が私たちと共にあってくださる。私たち人間の間を共に歩んでくださる。今日は神様が私たちの救い主となるべく、人の子としてお生まれになったことを祝うときです。心から祝い、その喜びを表して、分かち合いたいと願います。

礼拝の説教一覧へ戻る